カルシウム健康教室 1限目「カルシウムの働き」

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安産・陣痛とカルシウム

赤ちゃんが子宮で充分に育ち、分娩の時に赤ちゃん・胎盤を押し出そうと頑張っても、骨盤の形がしっかりしていないと安産は望めません。骨をしっかり保ち、骨盤の形を変えないようにして、産道を赤ちゃんが通れるように維持するのも、もちろんカルシウムの働きです。

また、カルシウムの働きをかげで支えているのがエストロゲンという女性ホルモンです。このホルモンは子宮と卵巣を成熟させて受胎に備え、妊娠を無事に続けさせる役目を果たしていますが、もう一つ骨からカルシウムが溶け出すのを防ぐ働きもあります。妊娠中のお母さんは赤ちゃんにカルシウムを与えるために、不足しがちになりますが、それを補うためにやむなく骨のカルシウムを溶かして間に合わせることになります。そのときエストロゲンはカルシウムが多く溶けすぎないようにし、骨量を失わないようにしているのです。

陣痛は、分娩の中でも子宮の筋肉が縮んで赤ちゃんと胎盤を押し出す大切な自然の摂理です。このとき働く子宮の筋肉は平滑筋と呼ばれ、腕や足の筋肉と異なって自分の意志で動かすことはできませんが、筋肉が縮む仕組みは同じ。カルシウムが筋肉の細胞に入ることが信号になるのです。

陣痛が強く規則正しく起こらなければ安産はできません。カルシウムが細胞の外に充分あり、信号として子宮の筋肉の中に入るとき、はっきりと感じられなければ充分な子宮の収縮つまり陣痛が起こりません。カルシウムはこのように生命が誕生する瞬間にも大切な働きをしているのです。