カルシウム健康教室 1限目「カルシウムの働き」

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受胎と妊娠合併症

生命のはじまりは精子と卵子の出会い。動く小さな精子が、静止している卵子と結合することです。この生命誕生のとき、最初に必要されるものがカルシウムです。精子が成熟し、運動が充分できるために、また卵子に到達して充分に情報を伝えるためにはカルシウムが必要なのです。

精子の周りには、ほかの細胞と同様に1万倍という非常に濃度の高いカルシウムがありますが、このように大きな濃度差があるからこそ、細胞は外からの信号を受けることができ、活動を始めることができます。もしカルシウムの摂り方が少ないと、この濃度差を保てなくなり、精子の働きが鈍くなってしまいます。受胎とは、大きな濃度差のカルシウムをもつ精子が卵子にたどり着き、カルシウムが情報を運ぶメッセンジャーとして流れ込むという現象です。従って卵子についても細胞の内外で充分なカルシウムの濃度差がないと精子を受け入れることができず、受精は起こりません。夫婦のどちらかがカルシウムの摂取量が少ないと精子や卵子の働きが鈍くなり、不妊症になることが考えられます。

せっかく受胎が成功し、妊娠しても10カ月の妊娠期間を無事に過ごすことはなかなか難しいことです。初期にはつわりが起こり、激しくなると妊娠中毒症や妊娠腎、さらに重症の場合は「子癇」という高血圧・腎臓障害・けいれんを起こし、命を落とすこともあります。このような妊娠の合併症は、カルシウム不足によって起こることが最近明らかになってきました。

赤ちゃんの骨をつくるために、母胎ではカルシウムがたくさん必要になりますが、普通に食事をするだけではカルシウムが不足するので、これを補うために骨からカルシウムが出て血管や腎臓にたまる結果、高血圧や腎不全などの恐ろしい妊娠合併症が起こるのです。ですので妊娠中毒症や子癇を予防するためにも、カルシウムを充分に摂ることが大切なのです。