カルシウム健康教室 1限目「カルシウムの働き」

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アトピー・アレルギー

近年、アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎、アレルギー性ぜんそくで悩む人が増えています。アレルギー性疾患の一つである花粉症も増加しています。アトピーも、アレルギーも免疫反応の異常がもたらす病気です。免疫は、体の中に異物や有害なものが入ってきたとき、それをやっつけて排除しようとする機能です。この免疫の働きに狂いが生じて起きる病気がアトピーやアレルギーです。

例えば、人体に有害な細菌(抗原)が体の中へ侵入すると、体の中の免疫情報網が働きはじめて、リンパ球という細胞へ「敵(抗原)が侵入したぞ!」と伝えます。そこでTリンパ球は抗体という武器をつくり、細菌に対抗しようとします。ここから細菌とTリンパ球の戦いが始まり、細菌の力の方が強ければ発病、Tリンパ球が勝れば病気を起こさずに済むわけです。

このように免疫は、本来、体にとって有害なものに対して発揮されるものですが、ピーナツや卵、花粉、ホコリなど、通常は有害とみなされないものにまで免疫反応を起こしてしまう人がいます。こうしたアトピー体質、アレルギー体質の人は、ある物質(アレルゲン)が体の中へ入ってきてTリンパ球にその情報が伝えられるとき、サイトカインという物質が電波のように体中を飛び交います。サイトカインはリンパ球や、骨をつくる骨芽細胞から分泌される物質で色々な種類がありますが、アトピー・アレルギーの人は、その中でもいま話題を集めているインターロイキン・5というサイトカインが普通の人よりたくさん出て、しかも情報の伝わり方が少しバランスを崩していることが分かってきました。

体の中の情報の伝達には、カルシウムが関係しています。カルシウムが不足して副甲状腺ホルモンが分泌されると、細胞へカルシウムが押し込まれて細胞の内外でカルシウム濃度の差が少なくなり、情報伝達がうまくいかなくなります。こうなると免疫の働きにも異常が出やすくなるのです。

アトピーやアレルギーが起きる原因はカルシウムの不足と短絡的にいうことはできませんが、カルシウム不足は決して良い結果をもたらしません。アトピー体質、アレルギー体質の人も、しっかりカルシウムを摂るようにしたいものです