カルシウム健康教室 1限目「カルシウムの働き」

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ひきつけとカルシウム

ひきつけ(かんの虫)は子供に多く、小児科の慣れた先生でなければ医師でも驚いたり迷ったりするほど発作の激しいものですから、保護者の方はさぞかし驚かれることと思います。ひきつけ、けいれんの中には自然に治ってしまうものから、てんかんのように発作を繰り返しているうちに知能の発育に影響を与えたり、激しい発作のため生命に危険が及ぶものまであります。

けいれんは、神経の中を通る電流が急に強くなり、筋肉が連続的に収縮するために起こるものです。原因は色々ありますが、血液中のカルシウム濃度が低いとき、つまり骨からカルシウムを取り出す副甲状腺ホルモンが足りない時には、てんかんやテタニーという筋肉のけいれんが起こることが知られています。

赤痢にかかった子供が重症になり、けいれんを起こすことを「疫痢」といいますが、抗生物質が使われるようになる前は乳児死亡の大きな原因の一つでした。日本に多く、アメリカには少なかったために、戦後アメリカの医師が日本人はカルシウムの摂取量が少なすぎるために起こるけいれんではないかと考えて血液中のカルシウムを測ったのは有名な話です。

血液がアルカリ性になるとイオン化カルシウムが少なくなり、けいれんやひきつけを起こすことがあります。その一つが「過呼吸テタニー」で、呼吸を激しくすると血液がアルカリ性になり、けいれんを起こすといわれています。高熱が出たときのけいれんは、過呼吸が原因の一つかも知れません。

いずれにしても、血液中のカルシウム濃度が低いときは、ひきつけやけいれんを起こしやすいといえます。ですから、子供のかんの虫(ひきつけ)、けいれんを予防する一つの方法として、充分にカルシウムを摂り、日光に当たって皮膚でのビタミンDの合成を盛んにすることはとても大切です。