カルシウム健康教室 1限目「カルシウムの働き」

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歯とカルシウム

歯や骨は体の中のカルシウムを蓄える所ですので、充分なカルシウムが無ければ歯は強くなりません。妊婦は赤ちゃんに体の中のカルシウムを与えるので、自分のカルシウムが不足しがちになってしまいます。充分にカルシウムを補わないと、お産のあと歯が弱くなるのはよく知られています。また年をとると吸収力が低下するためカルシウム不足の傾向が強くなり、歯も弱くなり、抜けていきます。その原因は、歯槽膿漏といった歯の周りの組織の病気、細菌の感染なども関係がありますが、充分なカルシウムを摂っていれば歯の周りの骨や歯ぐきも強くなり、感染に抵抗できるように免疫の働きも維持されます。

逆に、カルシウムの摂取量が不足すると、副甲状腺ホルモンが骨からカルシウムを取り出して体の中のカルシウムの不足を補おうとします。このとき副甲状腺ホルモンは骨と同様に歯の周りの骨からもカルシウムを取り出すとみられ、副甲状腺ホルモンの病気になると歯槽骨が悪くなり、次第に歯が抜けていくようです。

ニューギニアの原住民の一部は、食物をやわらかく煮ることも、歯を治療することも知らないので、年をとって歯が悪くなると固い食物が食べられなくなり飢えで死んでしまうそうです。カルシウムを充分に摂って歯を強くすることは、生きのびることに直接結びつくほど本来は深刻な問題なのです。