カルシウム健康教室 1限目「カルシウムの働き」

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カルシウム不足と骨折・運動

最近、子供の骨折が多くなったという声をよく聞きます。子供の骨折の傾向を統計的に見ることはなかなか難しいのですが、昔に比べて6倍に増えたという見方もあります。しかし、子供の骨折は将来の運動能力や姿勢などにも影響しますので、とても心配なことです。

骨折が増えているのは、必要なカルシウムが摂取できていないことが大きな原因の一つと考えられます。また、子供が屋内にいる時間が増えて日光に当たらないため、皮膚で紫外線によるビタミンDの合成が充分できていないこともあげられます。このため腸でカルシウムが充分吸収されず、食べ物の中のカルシウムがうまく利用できなくなるのです。

宇宙飛行士は無重力状態の中でふわふわと宇宙船の中を漂って、体を動かすのが楽そうに思えますが、良いことばかりではありません。宇宙飛行士は、毎日わざわざ足を突っ張ったり腕で引っ張ったりして人工的に抵抗をつくって運動をしています。これは筋力が弱らないようにするためと、さらにもっと大切なことは骨からカルシウムが抜けて弱くならないようにするためなのです。骨がいつも丈夫で固いのは、常に筋力が骨を引っ張ったり、地球の重力がかかっているからで、宇宙飛行士のように無重力状態で生活したり、神経や筋肉の麻痺が起こって骨に力が加わるとカルシウムが急に骨から出ていってしまうからです。

逆に、よく運動する人は骨がどんどんカルシウムを取り込んで強くなります。従ってよく運動する人も、運動不足な人もカルシウムは充分に摂ることが必要です。また、汗の中にも少量のカルシウムが含まれているので、運動して汗をかくたびに補給することも必要です。ですから骨を強くするためには、よく運動するとともに、よくカルシウムを摂ること。これは特に子供の成長期に大切です。カルシウムイオンは筋肉の収縮や神経細胞同士のメッセンジャーの役目も果たしていますので、筋肉がよく働くためにも吸収率の高いカルシウムが充分に体の中に取り込むことがとても大事なことです。